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日経平均株価とNYダウ:1ヶ月間の変化傾向は相関するのか

日経平均株価とNYダウ:1ヶ月間の変化傾向は相関するのか日経平均とNYダウ:1ヶ月間の値動き傾向は同じなのか
oguraisao130@gmail.com

1ヶ月ごとに上昇傾向か下降傾向かを調べる

「日経平均株価」と「NYダウ」は、1日単位で見ていくとランダムに変化します。そのため、日経平均株価とNYダウを1日単位で見ていては相関がありません。

では、1日単位ではなく、もう少し長い期間で区切ってみてみると、「日経平均株価」と「NYダウ」は似たような傾向が見えてくるのでしょうか。

たとえば1ヶ月単位で区切って、「日経平均株価が上昇傾向だった月」が「NYダウも上昇傾向の月であるかどうか」を調べてみたいと思います。

上昇傾向か下降傾向かをどうやって測るか

日経平均株価とNYダウが、上昇傾向 または 下降傾向かを調べるために、回帰分析の手法を使います。

具体的に数値を見てみます。2025年2月は、日経平均株価(終値)が下記のように推移していました。

【出典】日経平均株価:
https://www.nikkei.com/markets/worldidx/chart/nk225/

2025年2月上旬は「やや上昇傾向」でしたが、中旬~下旬にかけて「下降傾向」に変わっているようです。その結果、2025年2月の1ヶ月間としては、全体として下降傾向と言えます。

これを回帰分析で回帰直線を引いてみると、下図のようになります。エクセルのグラフで「近似直線」を入れる機能を使い、株価が上下していくなかの間を通る線を引いています。

さらに、直線がどのような傾向の線になっているか、数式を確認してみます。

グラフ上の直線は「一次関数」で表され、「y = ax + b」の形になります。

一次関数の「a」は「傾き」を表していますので、営業日 1日あたりに平均してどのくらい上昇したのか下降したのかが分かります。プラスの値なら上昇傾向、マイナスの値なら下降傾向となります。

上のグラフでは、「a」(=傾き)の値は「-56.837」と書かれています。約-57円(小数点以下、四捨五入)ずつ下がる傾向の月だったと理解できます。

参考までに、数ヶ月分のグラフを表示します。

2025年3月の傾きは「約-4円(小数点以下、四捨五入)」です。この1ヶ月間は、月末の下がり幅が大きく、数値上は「やや下がり傾向」となりますが、「約-4円」と数値(絶対値)が小さいため、「ほぼ横ばい」と言えます。

2025年4月は、上旬に大きく値下がりしたものの、中旬~下旬にかけて上昇傾向が続いたため、傾きは「67円(小数点以下、四捨五入)」となりました。上昇傾向であることが分かります。

日経平均株価とNYダウ の 傾向

それでは「日経平均株価」と「NYダウ」で、2002年4月~2025年4月までの月別の「傾き」を全て計算し、「日経平均株価」と「NYダウ」の上昇傾向・下降傾向に関係性があるのか確認します。

(補足)
グラフを1個1個作って「傾き」の値を確認していては、とても時間がかかります。エクセルには「slope」という関数があり、「y = ax + b」の「a」(=傾き)を簡単に計算できます。ただ「offset」関数なども使わないと一気に計算することは難しいため、計算のプロセスは省略します。

下の散布図グラフは、「日経平均株価」の毎月の上昇・下降傾向の「傾き」を横軸に、「NYダウ」の毎月の上昇・下降傾向の「傾き」の値を縦軸にして、点を置いています。

分析の期間は「2002年4月~2025年4月」で、この期間は277ヶ月あるため、点の数は277個となります。

グラフを見ると、やや関係性がありそうな点の配置です。2つの値の関係性具合を表す相関係数は「0.6044」で、0.6もあれば「正の相関がある」といって良いかと思います。

「日経平均株価が上昇傾向の月」は、「NYダウも上昇傾向になりやすい」ことが分かります。1ヶ月という単位でみると「日経平均株価」と「NYダウ」は似た傾向になるのです。

※ただし注意しなければならないのは、これは因果関係を表しているのではなく、あくまでも「関係性がある」ということを表しているだけです。

【参考】NYダウとS&P500 の 傾向

参考までに、「NYダウ」とアメリカの代表的な指標「S&P500」も、月別の上昇傾向・下降傾向が同じなのか確認してみます。

相関係数は「0.9160」で「とても強い正の相関」があります。

蛇足ですが、S&P500は「500銘柄」が選ばれている一方、NYダウは「30銘柄」しか選ばれていないスコアです。

NYダウは30銘柄のため、その数値がアメリカ市場全体を表す数値として良いのか少し不安になりますが、「500銘柄」とたくさんの銘柄を対象にしている「S&P500」とほぼ同じ傾向のため、NYダウもアメリカ市場全体を表した代表的なスコアと言えると思います。

まとめ

「日経平均株価」と「NYダウ」を1ヶ月単位で「上昇傾向」か「下降傾向」かで分析すると、「日経平均株価」と「NYダウ」は相関することが分かります。

前回は、1日単位で「日経平均株価」と「NYダウ」の上昇傾向・下降傾向を調べましたが、ランダムな動きが多く相関しなかったので、分析の期間を広げるだけで大きな違いが出てきたことになります。

「日経平均株価」や「NYダウ」といったマーケットを表す株価指数は、様々な要因で動き続けるため、結果として短い時間で区切るとランダムに変化するということかと思います。

しかし、今回のように1ヶ月という単位で区切ったり、あるいはさらに長い期間で1年間という単位で区切ると、世界全体のマクロ経済動向が大きく影響するため、複数のマーケットが同じような傾向を示してくるのかと思います。

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通信系の民間企業でマーケティング戦略やデータ分析を担当しています。ニュースや様々なインフルエンサーが発信されている情報が本当なのか、一次情報も確認しながら分析して事実を明らかにしていきたいと思います。
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